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日本の90年代はまさにミュージックバブル。ピークと言われた1998年の CD アルバム年間販売数は3億291万3000枚で、全国民が年に2枚以上のアルバム CD を買っていた計算になります。この数にシングル CD は含まれていないわけですからすごい時代だったことがわかります。そんな90年代にヴィジュアル系の先駆者として多くのフォロワーを生み出したバンドが X JAPAN(エックス・ジャパン)です。奇抜なヴィジュアルでありながらメタルをルーツとするハードなロックサウンドとクラシカルで切ないメロディーのバラード、X JAPAN(エックス・ジャパン)は静と動の両方の顔を持ち合わせたバンドとして人気を得ました。結成から30年以上迎える X JAPAN(エックス・ジャパン)には数多くのギタリストが在籍しましたがその中でも上手(かみて)ギタリストとして欠かせない2人のギタリストが HIDE(ヒデ)と SUGIZO(スギゾー)です。

 

  • ヴィジュアル系の先駆者、X JAPAN(エックス・ジャパン)

 

幼馴染であったドラムの YOSHIKI(ヨシキ)とボーカルの TOSHI(トシ)は、幼い頃から一緒に演奏する間柄でありそんな2人が高校時代に組んだバンドが X JAPAN(エックス・ジャパン)-当初は X(エックス)でしたが世界進出を目指した1992年に X JAPAN(エックス・ジャパン)と改名-でした。高校卒業後に上京しインディーズバンドとして活動をしていた X JAPAN(エックス・ジャパン)はYOSHIKI(ヨシキ)、TOSHI(トシ)、HIDE(ヒデ)、PATA(パタ)、TAIJI(タイジ)、というメンバーで1989年に CBS ソニーからアルバム『BLUE BLOOD』でメジャーデビュー。

ヴィジュアルのインパクトはもちろん、ライブの激しさ、当時としては斬新だったプロモーション活動は常に話題となり、デビューの翌年には武道館公演、東京ドーム公演、紅白出場。1992年には日本人アーティスト初となる東京ドーム 3 DAYS を成功させるなど、その勢いはすさまじいものでした。後輩バンドも続々と登場しその中には LUNA SEA(ルナシー)や GLAY(グレイ)といったモンスターバンドも現れました。X JAPAN(エックス・ジャパン)として発売されたオリジナルアルバムはわずか3枚ですが解散する1997年まで上手ギタリストとしてプレイし約20年経った今でも絶大なる人気を誇っているのが HIDE(ヒデ)です。

 

  • 2007年の復活

 

解散から10年経った2007年、突如として X JAPAN(エックス・ジャパン)の復活が発表されました。それも、よくあるコンサートでの復活ではなくアクアシティお台場の屋上にステージを作り新曲のミュージックビデオを撮影、さらにその曲がハリウッド映画『SAW4』のメインテーマソングとして世界公開されるという X JAPAN(エックス・ジャパン)らしい話題性を持った復活でした。翌年春には東京ドーム 3 DAYS も決行されその時に亡き HIDE(ヒデ)と共にステージに立ち、後に正式加入する事になるギタリストが SUGIZO(スギゾー)でした。SUGIZO(スギゾー)の加入により更に勢いをました X JAPAN(エックス・ジャパン)はアメリカ、ヨーロッパ、アジアなどを含む世界ツアーや世界各国のフェスへの出演で遂に本格的な世界進出。2010年には米マディソンスクエアガーデン、2017年には英ウェンブリーアリーナでの単独公演を成功させます。

 

  • HIDEとSUGIZOの関係

 

90年代当時、YOSHIKI(ヨシキ)が主宰していたレーベル・レコード会社『エクスタシーレコード』 からは多くのバンドがデビューしましたがその中の一つが LUNA SEA(ルナシー)でした。LUNA SEA(ルナシー)は X JAPAN(エックス・ジャパン)同様ツインギターのバンドであり HIDE(ヒデ)と同じ上手に立つギタリストが SUGIZO(スギゾー)でした。 X JAPAN(エックス・ジャパン)がヴィジュアル系という言葉を作ったとすれば、LUNA SEA(ルナシー)は現代に繋がるヴィジュアル系のサウンドとイメージを作ったバンドと言っても過言ではないでしょう。1964年生まれの HIDE(ヒデ)は1969年生まれの SUGIZO(スギゾー)をとても可愛がり SUGIZO(スギゾー)もまた、兄貴としてとても慕う間柄でした。2008年、YOSHIKI(ヨシキ)から X JAPAN(エックス・ジャパン)への正式加入オファーを受けた SUGIZO(スギゾー)、しかし当初の応えは NO。LUNA SEA(ルナシー)のギタリストでもある自分が X JAPAN(エックス・ジャパン)のギタリスト、ましてや HIDE(ヒデ)の代わりにステージに立つ事は簡単に受け入れられる事ではありませんでした。-タイミングも悪く LUNA SEA(ルナシー)は2000年に終幕し X JAPAN(エックス・ジャパン)と同じ2007年に再始動-。しかし悩みに悩んだ SUGIZO(スギゾー)はファンからの反発も覚悟の上2009年に正式加入します。その当時の事を、【熟考したうえで「X(エックス)のメンバーとコミュニケーションが取れ、ドームクラスの上手ギターの経験とスキルがあるギタリストは誰か・・・」の結論に「どう考えても SUGIZO(スギゾー)しかいない」と一切の主観を入れずに答えを出し、加入を決断】と、本やインタビューで語っています。

 

  • 2人のサウンド

 

X JAPAN(エックス・ジャパン)という同じバンドで同じパートを弾く2人ですがベースにもつサウンドやプレイスタイルは全くもって違います。勿論2人とも年代によって様々なギターやアンプを使用している為一概には言えませんがあくまで大枠としてお伝えできればと思います。まず HIDE(ヒデ)のメインギターはモッキンバードという形のギターでした。と、言ってもスタンダードなものではなく、名器であるギブソンレスポールの影響を強く受けていた HIDE(ヒデ)は、モッキンバードにレスポールのサウンドを落とし込む為、木材を同じものにしハムバッカーというパワーのあるピックアップを載せました。一方の SUGIZO(スギゾー)はフェンダーストラトのサウンドを中心としており、ストラトの特徴である木材、歯切れのいいシングルコイルピックアップ、音程を変えるトレモロアームの能力を引出し、弾き心地や好きなルックスを加える事でオリジナリティを出しています。プレイ面での2人の大きな違いは左手で音程を揺らすビブラートでしょう。HIDE(ヒデ)は基本大きく揺らす事はありませんが SUGIZO(スギゾー)は彼の特徴と言えるほどにビブラートを多用します。その違いは彼らのバックグラウンドや環境に左右されているのだろうと筆者は思っています。ハードロックをバックグラウンドに持つ HIDE(ヒデ)は学生の頃からツインギターでのハモりを多くしてきておりそれは X JAPAN(エックス・ジャパン)でも特徴の一つになった(ツインでハモる場合片方があまりに大きくビブラートをかけると綺麗に聞こえない)。一方の SUGIZO(スギゾー)はクラシックの家系に生まれ幼少期からバイオリンを弾いていた事によりギタリストとして特徴的なビブラートを奏でるようになった。【HIDE(ヒデ)は高域をとても嫌う人。SUGIZO(スギゾー)が選ぶギターは反応が早く硬い音がする。】上記は筆者が個人的に思っていた事ですが、2人と直接機材を通しやり取りしていた方にお話を伺う機会があったので直接伺ってみたところ正にそうだったようです。

 

  • まとめ

 

2人の関係性や音楽面におけるスタイルを書いてきましたが SUGIZO(スギゾー)は現在自分のプレイスタイルを抑え、 X JAPAN(エックス・ジャパン)用にギターを作り HIDE(ヒデ)の代わりを最大限努めようとステージに立っています。類稀なスター性と音楽性、そして絶大なる信頼感を持ち合わせた2人のギタリストに憧れるギタリストは今後も数多く現れるのではないでしょうか。